Forcus Dialogue
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Forcus Dialogue #1

FCバイエルン・ミュンヘン所属

伊藤洋輝選手 インタビュー

「一喜一憂しない」。ワールドカップのブラジル戦、逆転を許した直後に倒れた仲間を引き起こしたあの場面の裏には、伊藤洋輝選手が普段から自分に課している一つの意識がありました。

記念すべき第1回のゲストは、サッカー日本代表・伊藤洋輝選手。聞き手は、4年半にわたり親交のある弊社代表の久保田です。

前半は、長期を治るびた4年前、3度の手術、それでも焦らなかった理由について。後半は、これまではほとんど語られてこなかったお金の話へと踏み込みます。収入が増えていく実感、誰も教えてくれなかった扱い方、資産運用を3年続けて見えてきたもの。

お金とは何か。二人が同じ答えにたどり着いた理由とは。

Forcus Dialogue #1

FCバイエルン・ミュンヘン所属

伊藤洋輝選手 インタビュー

01 ワールドカップを終えて

久保田

皆さん、こんにちは。Forcus株式会社 代表取締役の久保田と申します。
この「Forcus Dialogue」は、各界の第一線でご活躍されている方をお迎えして、前半ではその方の哲学を、後半ではお金と将来の設計についてお伺いするシリーズです。

記念すべき第1回目のゲストは、先日の北中米ワールドカップで大活躍されたサッカー日本代表、伊藤洋輝選手です。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

伊藤

よろしくお願いします。

久保田

改めて、ワールドカップお疲れさまでした。いかがでしたか?

伊藤

4試合に出場して、結果は残念だったんですけど、充実した大会になりました。

久保田

今回で2回目のワールドカップでしたが、前回と比べて、終わったときの感情面の変化はありますか?

伊藤

カタールのときは出場時間も短かったですし、最後に滑り込むようなメンバー入りでした。それに対して今回は、4年間ずっと怪我と向き合いながら、代表にも定期的に選出されてきたなかでのワールドカップだったので、より責任感を持ってプレーできたと思います。出場時間も含めて、本当に充実してましたね。

久保田

フィールドプレーヤーでは唯一のフル出場でしたが、正直、体力的な面ではどうでしたか?現地で拝見して、グループステージ3戦目のスウェーデン戦のあとの表情は、かなり疲れているように見受けられましたが。

伊藤

普段は中3日、中2日でプレーしているのに対して、今回は中5日や中4日のゲーム間隔だったので、身体の疲労はそこまで感じませんでした。ただ、大会のプレッシャーや雰囲気は、やっぱりワールドカップは特別なので、タフな大会にはなりました。

02「一喜一憂しない」

久保田

ここからは、伊藤選手の哲学の部分に少しフォーカスさせてください。私自身は仕事柄、各界の第一線で活躍されている方とお付き合いすることが多くあります。当然、活躍されている方には人にはない突出した部分があって成果を出されるわけですが、伊藤選手とかれこれ4年強のお付き合いのなかで感じているのは、「動じない」という力がすごく突出しているということです。焦っている姿とか、気持ちが乱れているような姿を、正直まったく見たことがない。それが私の印象として強くあるので、今日はこの「動じない」というところを深掘りさせていただきたいと思っています。
まずは先日のブラジル戦のアディショナルタイムについて。後半のアディショナルタイムで失点し逆転されてしまって、誰もが動じてしまう場面だったと思います。そんな場面でも伊藤選手は田中碧選手のユニフォームを引っ張って立ち上がらせた、あのシーンが日本でも話題になり、大きな感動を呼びました。実際あのとき、何を感じていたのですか?

伊藤

最後、本当に1分か2分か、そういう場面での失点だったんですけど。やっぱり負ければ終わりの大会ですし、4年に1回しかないワールドカップというところで、最後の1分も2分も無駄にできないな、最後にワンチャンスでもあればな、と。そこで自分が感じていたことが、あの行動だったのかな。サッカーも含めた自分の中のテーマとして、「一喜一憂しない」というところは普段から意識しながら生きているので、そういったところが出た場面かなと思います。

久保田

今おっしゃっていただいた人生のテーマの「一喜一憂しない」というのは、何かそれをテーマにしようと思うきっかけとなる出来事があったんですか?

伊藤

プロになって、やっぱり見られる場面も増えてきましたし、前回のカタールワールドカップのときは、敗戦のあとにSNSなどで批判も受けました。そこで、立ち止まってはいられない、無駄な時間を過ごせないなと思いましたし、次の大会に向けて成長していこうと強く思った瞬間でもあったかなと。サッカーで喜ぶ場面もいっぱいあるし、悔しい場面もいっぱいあるんですけど、長い時間それに浸ったりすることはないですね。自分のサッカーキャリアも人生も続いていくというところは、常に意識しています。

久保田

「一喜一憂しない」と言うのは簡単ですけど、実践し続けるのはなかなかできることではない。ましてや、フィールドプレーヤーで唯一フル出場し、誰よりも疲れていたはずです。そのような中であのとき「動じない力」というか、変わらずに強くあり続けられたのは、何だと思いますか?

伊藤

日常がそうだからこそ、ワールドカップでもそういうマインドで行けたのかなと思います。4年間の積み重ねが出る大会だと思いますし、プレーしていてもブラジル戦は前半から差を感じていたので、ある意味「失うものがないな」ということも思いました。それが、あの行動として出た瞬間なのかなと。

久保田

意外だったのが、ブラジル戦の前半は最高のゲームができたんじゃないかと外からは見えていたんですけど、ピッチの中では差を感じたり、足りないものを感じたりしていたんですか?

伊藤

相手のプレーするテンポや、ブラジルサポーターの雰囲気も含めて、サッカー王国の偉大さというか、プライドを感じましたね。彼らも、僕らがいい守備をしているなかでファンからのプレッシャーを受けていたと思いますし、1-0で折り返したとはいえ、ミドルシュートは何本も打たれています。テンポ、スピード、強度、フィジカル、どれをとっても、それまでの3試合と比べてブラジル戦は一レベル上だと感じていました。

033度の手術と、読書の時間

久保田

決して動じることのない伊藤選手に、2つ目に伺いたいのは怪我のことです。2024年の夏に、世界屈指のビッグクラブであるFCバイエルン・ミュンヘンへの移籍が決まりました。初めて会った当時から「絶対にビッグクラブに行きたい」とずっとおっしゃっていたので、本当に念願の移籍だったと思うんですけど。そのような中、移籍して早々にプレシーズンマッチで骨折してしまって。そこからは復帰しては骨折して、の繰り返しで計3度の手術をされました。通常で考えると心が折れそうになったり、自信をなくしたりすることもあると思うんですけど、私から見えていた伊藤選手は、そんなときもまったく動じずに、いつも通りに未来を見つめ続けているように見えました。実際、怪我を繰り返していた時期は何を感じられていましたか?

伊藤

移籍した当初でアピールしなきゃいけないという気持ちもあったなかでの怪我だったので、もちろん落ち込みましたけど。一日一日を無駄にしないように生きていこうと思いましたし、リハビリの時間が長くなると、サッカーだけに集中していても一層落ち込んでしまうこともあるかなと思ったので、そういったタイミングで他の趣味を見つけようとは努力しました。

久保田

当時、それで読書や勉強にものめり込んでいかれましたよね。

伊藤

はい。今は忙しくてしていないですけど(笑)。

久保田

あのとき一流の人は違うなと思ったのが、伊藤選手が突如「勉強したい、読書したいから推薦の本を教えてください」とおっしゃって。多分10冊、20冊紹介して、本当にその数だけの本を日本に来たときに大量購入して、ものすごいスピードで全部読破された。一つ一つの感想も送ってきてくれたので。その「やる」と決めたら淡々とやり続ける能力の高さや、単純に読むスピードが速いなというのは、すごく印象に残っていますね。

伊藤

読書をしてこなかった人生だったので、好き嫌い、自分のはまる分野とはまらない分野もありましたけど、推薦してもらった本は結構楽しく読みました。深く読むというよりは、読み始めたら早く終わらせたいみたいな気持ちで読んでいたので、ある意味、時間を潰すのにはいいツールだったかなと思います。

久保田

そのような中で、一冊「これが心に残ってるな」という本があれば。

伊藤

小説とか本当に無縁だったんですけど、『永遠の0』と『海賊とよばれた男』。この二つの、主人公の生き様とかマインドとか、勉強になるというか、自分にも取り入れられるようなストーリーもあったので、すごく楽しく、真剣に読みました。

久保田

『海賊とよばれた男』は、出光興産の創業者である出光佐三さんの半生を描いた小説で、大きいことを成す人には、圧倒的なバイタリティだったり、ここぞというときの交渉力、人を惹きつける人間力が必要不可欠だと思うので。それが詰まっている本で、私も学びが多くて推薦したんですけど。伊藤選手にそれが伝わって、もしかしたらワールドカップのプレーのどこかに影響していたかもしれないと思うと、私としては嬉しい限りです。

伊藤

怪我の時間は3回トータルすると1年ちょっとくらいでした。けど「ここまで戻れるんだ」といういい経験になりましたし、サッカーだけでなく、引退した後のことを考えて勉強しようという気持ちになったのも、いい時間だったなと今は思います。ワールドカップでは、怪我を乗り越えていいプレーをしようというのを目標にしていたので、よくあの時期を乗り越えたなと思います。

久保田

本当によく頑張ったね。いち伊藤洋輝ファンとして、怪我をしてさすがの洋輝でも今しんどいのかなと感じてましたが、それでもやっぱり動じていなくて、パワーアップした姿で戻ってきて、復帰初戦でアシストしたり、早々に点を決めたり。感動をもらいましたし、私も仕事をしていくうえで、すごく刺激をもらいました。復活してくれてありがとうございます。

伊藤

ありがとうございます。

04 カタールの批判が変えたもの

久保田

動じない伊藤選手に伺いたい3つ目のことは、カタールワールドカップのときのことです。第2戦のコスタリカ戦の後半から途中出場されて、私の目にはいつも通りの素晴らしいプレーをされていたんですけど。結果として日本は敗れて、批判の矛先が少なからず伊藤選手に向かいました。覚えているかわからないですけど、あの日の翌朝、電話で伊藤選手と話をして、私もどう声をかけようかと思っていたんですけど、電話の先にはいつもとまったく変わらない伊藤選手がいて。過去を後悔するわけでもなく、ただ未来を見据えているという印象を受けました。あのときも本当に強いなと感じたんですが、実際は何を感じていましたか?

伊藤

4年前のことなので、あんまり覚えていないというのが正直なところなんですけど、電話したことも覚えていないです(笑)。
まぁ批判のされ方や量というのが、ワールドカップの重要性や大会の大きさを改めて感じることができた瞬間でした。批判を受けてということでもないですけど、より自分のサッカー人生に集中しようということを感じた瞬間だったかなと思います。自分がプレーすることが一番重要だし、自分が活躍してチームが勝つのが一番大事なので、そこにフォーカスしていこうというマインドになりました。あまりメディアには出たがらないのも、サッカーで活躍することが一番自分にとって重要だし、サッカー選手としての使命だと思うので、そこを意識しています。

久保田

実際あの後にシュトゥットガルトをブンデスリーガ2位というところまで躍進させ、その中心には間違いなく伊藤選手がいたと思います。その活躍もあってバイエルンへの移籍も実現されて、リーグ戦2連覇も実現。今回のワールドカップではフィールドプレーヤーで唯一のフル出場、チームの主軸として大車輪の活躍をされ、この4年間を振り返って、あの4年前の出来事をどう感じていますか?

伊藤

カタールはチームも勝てなかったですし、自分の出場も限られていたので、本当に悔しかったですね。次の大会では自分が中心選手としてプレーするというところを目標にして、納得いかないプレーが残ったぶん、その経験をどう生かすかを常に考えながらやっていたら、パフォーマンスも上がっていきました。一人でやるスポーツじゃないので、周りの選手にも監督にも恵まれたなかでの2位でしたけど、やっている最中はチームとして機能している手応えがすごくあって、ワールドカップで負けた経験を自分の成長に向けられたことが、リーグ戦のああいった結果につながったのかなと思います。そうやって勝てるようになってみると、「勝つことで学べるもの」も本当にたくさんあるんだなと感じました。

久保田

「勝つことで学べるもの」って何ですか?

伊藤

やっぱり勝つためには点を取らなきゃいけないし、失点を多くしたら勝つ確率が下がるので。チームのやり方があるなかで、自分たちがどうビルドアップして組み立てていくかとか、そういう成功体験がゲームの中でもたくさん現れた試合が多かった。それが選手の意識の中で、考えずにスムーズにできるようになっていき、チームが安定して勝てるようになった要因かなと思います。

久保田

なるほど。ありがとうございます。

05本当に図太いと思う選手

久保田

冒頭でもお伝えした通り、私自身はサッカー選手をはじめ、各界の第一線で活躍している方々と接する機会が多いなかで、やっぱり伊藤選手には本当に動じない力、一言で言うと精神面の強さ、図太さをすごく感じるんですけど。例えば今の日本代表だったり、バイエルンのチームメイトの中で、「この人は強いな、精神的に図太いな」という人で、今パッと頭に浮かぶ人っていらっしゃいますか?

伊藤

南野選手。

久保田

おー、なるほど。強い伊藤選手から見て「強い」という選手が、どういう選手なのかというのは、ちょっと興味があります。

伊藤

発言とか行動を見ていてもそうですし、やっぱり勝つためなら何でもやるというところ。恥ずかしさを捨てられるというところ。そういう場面が一緒に代表活動をして何度か感じたものがあったので。彼は精神的に、勝利のために何でもできる選手だなという風に思います。

06ここから先、どこを目指すのか

久保田

では、少し未来の話を聞かせてください。ワールドカップのブラジル戦後、伊藤選手はInstagramで「今日から僕らはまた立ち上がる」とコメントされていましたけど、ここから先、伊藤選手はどこを目指していかれるんですか?

伊藤

自分も怪我を繰り返しながらの4年間でしたし、実際に怪我で出られなかった選手も何人もいたなかでの大会だったので、簡単に4年後どうなっているかというイメージはできないですね。4年後を考えるというよりも、自分に今何が必要なのかというところと、自分がどうなりたいかというところを、しっかり明確にする。もしかしたら1週間後には変わっているかもしれないけど、今この瞬間どうなりたいかというところにしっかり目標を定めて、それに向かって行動するのが大事かなと。まずは所属チームにこれから戻るので、4年後に向けてというよりもまずは所属しているチームでしっかり活躍したいと思います。

07収入が増えていくということ

久保田

ここからは少し、サッカー選手とお金の話について聞かせてください。もちろん、答えづらいところはパスしていただいて大丈夫です。プロになってから、徐々に収入が増え続けてきたという感じだったと思うんですけど、率直に、どんな感じでしたか?

伊藤

やっぱりドイツに行ったタイミングとか、ドイツで活躍したタイミングとか、あとはバイエルン・ミュンヘンに移籍したりとか、ワールドカップに出場したとかというタイミングで、収入もどんどん増えていきました。大会に出場したり試合に出場したりすれば、もちろんボーナスももらえるという状況で、やっぱりプロとしての評価がお金に表れるので、そこには喜びがありました。

久保田

伊藤選手ってすごく堅実という印象を私が強く抱いているんですけど。お金関係でちょっとミスっちゃった、しくじった、みたいな話があったりしないですか?

伊藤

大きな失敗談はそこまでないかな。父親からは「無駄遣いするなよ」とは常に言われていましたね。

08やらされた練習はなかった

久保田

今、親御さんの話が出てきたので伺います。伊藤選手のような強い能力を育むうえで、親御さんが与えた影響はありますか?親御さんの影響や小さいときの環境なのか、どういう教育を受けられたのかなというのは、私自身も一親としてもすごく関心が高いことなので。

伊藤

父が家でヨーロッパのサッカーとかスーパープレー集とかを流していて、それによって自分もはまって見たりというような環境は常に家の中にありました。あとは自分がサッカーを好きでプロになりたいという気持ちが強かったので、週6、週7練習させてもらっていましたね。平日はチームで練習して、土日は公園に行って自主練するみたいな日々が出来上がっていた少年時代でした。無事サッカー選手になれて良かったです(笑)。

久保田

親御さんが「こういう風に練習しなさい」と強制してくるわけではなく、伊藤選手がサッカーにはまりやすい、高みを目指しやすい環境を与えてくれていた、という感じなんですかね?

伊藤

そうですね。それが正しいかどうかはわかりませんが、僕に合っていたと思います。あとは「基礎を大事にしろ」というのを常に言われていたことは覚えています。

09初任給で買ったもの

久保田

プロになって初めての初任給で何を買ったか覚えてますか?

伊藤

何を買ったんだろう。僕は高校3年でプロになったんですけど、恥ずかしながら、その給料がそこまで喜びに満ち溢れるような額じゃなかったので、あんまりいい思い出はないかな(笑)。

久保田

むしろ「もっと高い金額をもらえると思っていたのに」みたいな。

伊藤

はい。「こんなもんじゃねえぞ」と。頑張ろうと思いました(笑)。
初任給か。何を買ったんだろう。全然覚えてないけど車が一番最初かな。あと時計も一個、プロになった記念に買いましたね。時計は資産になるみたいな話は聞いていたので。

久保田

いやあ、本当に手堅いですよね(笑)。資産性のあるものにしかあまりお金を使わないイメージがすごく強い。すごく合理的というか、俯瞰して判断している印象がありますね。価値が落ちるものにはあまりお金を使わず。多分、今着けられている時計とかもそうだと思うんですけど。時計の選び方一つとっても、しっかり資産性のあるものに投下しているなというのは思いますね。

伊藤

大前提として、やっぱり自分の好きなデザインとかはありますけど。衝動買いとかで無駄遣いしたなという思い出はないですね。

10誰もお金の扱い方は教えてくれない

久保田

サッカー選手がいわゆる一般のサラリーマンと異なる点として、年齢が若いときに高額の報酬が入ってくるということは明確にあると思います。入ってきた収入をどういう風に管理したらいいかとか、どう運用したらいいかとか、クラブチーム側からそういうことを学ぶ機会は与えてもらえるんですか?日本のJリーグ各チームや、ブンデスリーガのシュトゥットガルト、ビッグクラブであるバイエルン・ミュンヘンそれぞれでの違いなんかもあれば、併せて教えてください。

伊藤

いや、収入の使い方に関して指導されることはまったくないですね。プロになって8年間一度もなかったです。先輩とかと話したりすることは、紹介とかも含めてちょこちょこあったかな。

11資産運用を3年やってみて

久保田

そんな伊藤選手も、おそらく資産運用を始められて3年強が経つと思うんですけど。始められたきっかけは何ですか?

伊藤

始めたきっかけは、久保田さんが僕の事務所に入って、その繋がりで始めましたよね。

久保田

はい(笑)。私との接点が生まれる前までは、運用について考えたことはなかったですか?

伊藤

先輩の紹介とかで、保険の商品とかの説明を数回受けたことはありました。分厚い冊子が送られてきて、もちろん僕は読むキャラクターじゃないので読みませんでしたけど(笑)。
なので基本的には貯金。銀行口座に貯まっていくのみでした。あとはさっきも言った時計とか、物を買ってその価値が増えるといった資産性みたいなところは少し考えたりもしたことはあったけど。投資や資産運用のところは、そこまで知識もなかったし、そういう場面もなかったですね。

久保田

そんな伊藤選手が資産運用を3年強やってみて、実際今、どうですか?何を感じていますか?

伊藤

知識がないときは曖昧な世界だったんですけど、自分が資産運用をするようになってちゃんと数字を見ていくなかで、「運用で増えていく世界線が本当にあるんだ」と思いました。今は、やっぱり使わないお金はちゃんと資産運用しておいて良かったなという風に思います。自分はまずサッカーに集中して、使わないお金は信頼関係がある人にお願いして、しっかり運用して増やしていける。僕らのサッカー人生を考えたら、長くても40歳くらいまでなので、20年くらいしか現役がないという点が他の職業の方たちとは違う。そういった環境だと資産運用が重要になってくるので、本当にスタートして良かったです。

12時間を味方につけられる職業

久保田

そう思っていただけて良かったです。プロアスリートで活躍できる期間は先ほど伊藤選手もおっしゃっていたように限られます。であれば、やっぱりプロアスリートこそ1年目からしっかりお金に向き合っていくというのは、本当にものすごく大事なことです。運用するうえで一番大事なのは、いかに時間を味方につけるかということ。なので20代の前半だったり、場合によっては10代から、しっかりとした金額で長期スパンで資産運用できるというのは、他の職業の方には中々実現できないサッカー選手だからこそのとてつもない強みだと思います。
そういう意味で、まだ伊藤選手が20代前半という若い時に接点を持つことができて、長期的にこのようにサポートできているというのは、私としてもすごく意義を感じています。資産運用と正しく長期的に向き合うことの価値を、プロアスリートの方々にも広く伝えていきたいというのは強く思っているので、こういう対談企画をしているところはあります。
自分が一生懸命プロアスリートとして働くだけでなく、資産にもしっかり働いてもらう。その効果を感じてくれているということでしたけど、今、若いころの自分や、若い選手に、伝えておきたいことはありますか?

伊藤

まずはサッカー選手として活躍して、自分がしっかり評価をされて収入を得るというところを、僕は意識していました。移籍金だったり、自分に払われる給料というところが、自分自身のサッカー選手としての評価だという風に常に思っていたので。まずはしっかりサッカー選手として活躍してお金を稼ぐというところが、一番大事だと思います。
同時に、自分が35歳とか40歳とかで辞めるとなった後の30年、40年をどうやって生きていくかというところは、間違いなく人生のテーマになります。そこでしっかりとお金を運用で増やしておき、第二の人生の選択肢を増やすのか、それとも無駄遣いをして引退したときにお金がなくなるのか。そこが引退後の40年に大きな差が出てくると思います。
人によってはもしかしたら「サッカー選手なんだからサッカーに集中しろ」という人も世の中にはいると思うけど、やっぱり自分自身の人生なので。いくら外から言われても、自分以外は誰も自分の人生に責任を持ってくれないと思うんです。そういったところをしっかり意識して、主体的に生きていきたいなと僕は考えています。

13お金とは、選択肢

久保田

なるほど。私の中で「お金って何なの?」と聞かれたら、まさに選択肢だと思っています。もちろん、現役時代はアスリートというところに集中してほしいです。私が伊藤選手のサポートをさせてもらうなかでの一つのテーマは、いかに精神的な負荷だったり時間だったりを奪わずに、しっかりと正しい資産運用をしてもらえるか。自分の中では、コミュニケーション上すごくこだわっているところです。
ただ今おっしゃっていただいたみたいに、実際に引退を迎えたときに資産がどういう状況なのかによって、その後の人生の選択肢は劇的に変わってきます。伊藤選手もそうですし、やっぱりサッカー選手って皆さん成功者なんです。それは私も子供のときはサッカー選手になるのが夢でしたし、おそらく今の子供たちに聞いても、一番多い夢はやっぱりプロサッカー選手だと思うので。その一番ハードルの高い夢を実現された、そういう力を持っているサッカー選手の人たちが、セカンドキャリアで苦しんでしまうみたいなところは、私は絶対に見たくない。
そういう成功する力を持った人たちが引退したタイミングで然るべき資金力を持っていたら、またその人の能力や影響力を生かして、セカンドキャリアとしてその人ならではの、伊藤選手ならではの何か素晴らしい取り組みをしてくれるんじゃないかなというのは、すごく期待しています。そういった意味で、私は今しっかりサポートさせていただきますし、伊藤選手が引退を迎えたときに、どういう選択をされるのかなというのはすごく楽しみですし、その選択を広げられるように、引き続き、できる限りのサポートをさせていただきたいと考えています。

伊藤

ありがとうございます。

久保田

ちなみに、伊藤選手にとってのお金とは何ですか?

伊藤

僕も久保田さんと同じように、選択肢が広げられるものだと思っています。お金をたくさん稼ぐことをまったく悪いと思わないですし。やっぱり死ぬときに、自分自身の人生を振り返ったときに「楽しかったな」と思いたいんです。お金をかけてした経験も、お金がかからなかった経験も全部含めて、本当にいろんな経験をしたなと思いながら死にたいなと思って生きているので。そのための大事な要素の一つですね。

14ブラジルの少年へ

久保田

最後に、まったく話が変わってしまうんですけど、ブラジルの白斑のある少年が日本対ブラジル戦の国歌斉唱時、伊藤選手がテレビに映し出されたときに、もう大はしゃぎして「ヒロキ、ヒロキ」と言いながら大喜びしている動画が日本では拡散されて、話題にもなってましたが、その動画はご覧になりましたか?

伊藤

はい。周りの人にも言われましたし、友達も送ってきてくれたりして見ました。

久保田

あれを見て何を感じましたか?

伊藤

あの動画は嬉しかったです。彼が喜んでくれたというか、そういう気持ちになってくれて。僕も白斑になったのが8歳とかで、病院に行ってから登校していた記憶があります。あの子もそのぐらいですよね。

久保田

当時、小学生で眉やまつ毛が白くなるというのは、辛くなかったですか?

伊藤

全然覚えてないですけど、周りの子たちにもちろん見られるし、言われるし、当時はちょっとは気にしていたのかなという風にも思います。でも途中からこれが治るものだとも思っていなかったので、病院に行くのも辞めた記憶があります。歳を取るにつれて、そんなに気にならなくなりました。

久保田

なるほど。何年か前のインタビュー記事でも、自分は白斑を別に隠すわけでもなく、それをしっかり背負って、同じ病気を持っている人たちの希望の星になれたら、というようなことをおっしゃってましたね。だからあの動画を見たときに、まさにそれを実現したんだなというのがすごく嬉しくて。

伊藤

まずは自分が気にしないというのが一番なんですけど、やっぱり子供の時だと見られて気になっちゃうと思うんです。でも歳を取るにつれて解決する問題でもあると思いますし、白斑って街を歩いていてもたまに見かけたりもするので、「白斑の人って意外と多いんだ」ぐらいなマインドになって欲しいですね。皮膚が白くなったからといって不便なこともないですし、なったならなったで仕方ないかぐらいのマインドで。

久保田

やっぱり動じないですよね。子供のときから。

伊藤

子供のときはちょっと気になっていたかもしれないけどな(笑)。

久保田

せっかくなのでブラジルの少年に向けて、一言メッセージをお願いします。

伊藤

僕も同じぐらいの年頃で白斑を患いましたけど。でも人と違うことに興味を持ってくる周りの人もいると思うし、自分らしさとして受け止めて欲しい。今度は君が、サッカーかもしれないし別の分野かもしれないけど、何かでヒーローになって、また白斑の方々を元気づけてもらえたら嬉しいです。

15淡々と歩み続ける

久保田

改めて伊藤洋輝選手、今日は本当にありがとうございました。もともと冒頭でお伝えした通り「動じない」というのが突出した能力だというのを感じていたんですけど、そこを改めて深掘りさせていただき分かったのは、伊藤選手は明確な目標を定めて、一度それを定めたら淡々と歩み続ける、それこそが動じない原点なんだなと今日インタビューして強く感じました。
自分自身の将来の夢、目標を実現するために、一喜一憂している場合ではない。その気づきがあって、それに伴った行動を取り続けていることで、まったく動じない人間性を培っているんだと思います。これは我々ビジネスマン、金融パーソンにもすごく繋がるところだと感じていて、私としてはすごく学びをいただいた時間でした。
今日はオフで午前中は激しいトレーニングをされ、大変お疲れのところだったと思いますが、こんな長時間お付き合いいただいて本当にありがとうございました。

伊藤

ありがとうございました。

久保田

本日は、伊藤洋輝選手でした。ありがとうございました。

伊藤 洋輝
Profile

伊藤 洋輝 (いとう ひろき)

生年月日: 1999年5月12日  
身長・体重: 188cm / 84kg  
ポジション: DF
所属: FCバイエルン・ミュンヘン(背番号 21)
経歴: ジュビロ磐田ユース → ジュビロ磐田 → 名古屋グランパス(期限付き) → VfBシュツットガルト → FCバイエルン・ミュンヘン

1999年生まれのディフェンダー。188cmの長身と正確な左足を武器に、センターバックと左サイドバックの両方を高い水準でこなす。ジュビロ磐田からドイツへ渡り、シュツットガルトでの3シーズンを経て、24年夏にバイエルン・ミュンヘンへ完全移籍した。22年、26年ワールドカップに日本代表として出場。

Forcus Dialogue

Forcus Dialogue は、各界の第一線で活躍される方をお迎えし、前半ではその方の哲学を、後半ではお金と将来の設計についてお伺いするシリーズです。聞き手は弊社代表の久保田が務めます。
長くその場所に立ち続ける方には、その人なりの判断の基準があります。何を大切にし、何を譲らずにきたのか。前半では、その考え方そのものに触れます。
後半は、お金の話です。日本ではなかなか表に出てこない領域で、扱い方を誰かに教わる機会もないまま、人生の大きな決断だけが積み重なっていきます。実際にその決断を重ねてきた方に、何を考え、どう向き合ってきたのかを率直に伺います。
歩みの裏側にある考え方を、ご本人の言葉で語っていただきます。今後も数回にわたって公開予定です。

当社について

Forcus株式会社(金融商品仲介業者)

登録番号:関東財務局長(金仲)第1075号

当社は、所属金融商品取引業者の代理権は有しておりません。

当社は、金融商品仲介業に関して、お客さまから直接、金銭や有価証券のお預かりをすることはありません。

所属金融商品取引業者 株式会社SBI証券 登録番号:関東財務局長(金商)第44号、商品先物取引業者

加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人資産運用業協会、一般社団法人日本STO協会、日本商品先物取引協会、一般社団法人日本暗号資産等取引業協会

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本記事について

本記事は、対談でうかがったお話をそのまま掲載しています。資産運用に関するご感想は、お一人おひとりの運用方針やご状況によって異なります。将来の運用成果をお約束するものではありません。